きみはなぜ働くか。 ~ワタミ社長の日記?~
2010年4月1日初版
日経ビジネス人文庫
「きみはなぜ働くか。」 渡邉美樹 著
648円+税
全205ページ
単行本
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この本は、前回の東京都知事選に立候補して見事散った(いい得票だったんだけどね、石原さんの行動と実行力にはかなわないかな)、あの「居酒屋 和民」創業者の渡邉美樹氏の本です。
帯には「一度の人生を無駄にするな!」というインパクトコピー。
第1章 きみたちは人生の主人公なんだ
第2章 感謝、感謝を忘れた人間になるな
第3章 シゴトは手段じゃない。きみたちの人生だ
第4章 豊かなこの国に生まれたきみたちへ
第5章 地球上で一番たくさんの「ありがとう」を!
という内容です。
見開き2ページ1話完結。どこからでも読めます。渡邉社長(現在は、取締役会長(非常勤)という肩書のようです)の、若者へ、多分「ワタミ」に入社した社員へのメッセージの本だろうと思います。まあもちろんこうやって本になっていますので、社員だけでなく万人にも受け入れられる本ですが、若干内容に偏重が見られます。カリスマ性があるだけに若干ワンマン社長的な特性も伺えます。しかし、S川運輸で1年働いてためた事業資金300万円でここまで大きな会社に成長させるのですから、かなりの行動力はありますね。本文の内容からもにじみでています。
ということで、正直「これはちょっと違うんじゃないのかなぁ~」なんて一介の別会社の課長身分の社員がとやかく言う筋合いはありませんが、ひとつだけ共感したページがあります。
P44。
「冷気と闇」がアサガオを咲かせる。人間もまた同じなんだ。
ここで渡邉会長は、アサガオの実験から人生の闇と光の時期を表現しています。
アサガオを早く咲かせようとした生物学者が、つぼみのアサガオに光と暖かさを与え続けた。しかし咲かない。学者はアサガオが花を咲かせるのは、花を咲かせる前に何かのシグナルがあるのかと考え、朝顔が咲く前の時間、つまり「冷気と闇」の時間を思いつき、それを与えたところ、見事咲いたそうである。
渡邉会長は大卒後、事業資金を稼ぐため、S川急便で必死にがんばった。
知り合いの運輸業界で働いている人に聞いたけど、S川急便は事務員に5Sを徹底させているのはどの会社にも負けない。お客が受付に入るやいなや、全員シゴトを止め、直立お辞儀で「いらっしゃいませ!」という。なかなかできないですね。
オイラの推測だとかなり営業所の所長は怖い存在(権力を与えられた存在)なんじゃないかなと思う(実際神様以上らしい)。そのぐらいじゃないとあそこまではできない。
ドライバーは「セールスドライバー」といわれる。宅配業界は配達するのがメインの仕事だと思っている人がいるかもしれないけど、実は、貨物を集める「集荷」に重きを置かれる。
S川急便のドライバーの給与は多分「配達:集荷=1:9」ぐらいの歩合制で動いているのではないかな。だからドライバーは必死で自分のお客を取ってくる。いっつも走っているよね。でもあれはパフォーマンスで、てれてれ歩いているのが関係者に見つかったら、多分袋叩きにあうからだな。
荷物が集まるメリットはターミナルからターミナルまで荷物を運ぶトラックの積載率によって損益がものをいう。どれだけ1台の車に荷物を積み込むことができるか。スカスカのトラックを走らせたら赤字もいいところ。いうなれば閑散期の飛行機の搭乗料が安いのと同じ。
まあ長々書きましたが、そんなドライバーの職場ですから、かなり渡邉会長は他のドライバーから「大卒野郎が…」っていじめられたと思います。そのこともしっかりこのページに記載されています。
「罵声を浴びせかけられたり、荷物を投げつけられたり…人間関係の劣悪さは言葉に尽くしがたい」
とまで書いてあります。さらに
「ぎっくり腰になり、身体はボロボロ、心はカサカサ、ポケットにはいつも辞表をしのばせていた」
ということです。普通の人間だったらすぐやめるけど、渡邉会長には1年で300万円の事業資金を儲ける!という明確な目標があったので耐えられたんでしょうね。
このS川急便時代が渡邉会長の「冷気と闇」の時代だと語っています。
渡邉会長は人間誰しも「冷気と闇」の時代が必ずある、それが開花へのサインだと言っています。
このページをオイラは複写して、手帳に貼り付けて、仕事がつらくなったらいつも開いてはこの文を読んでいます。
オイラも40オーバーしちゃったけど、実際オイラは「冷気と闇」に突入しています。心はカサカサでいつ「うつ病」になってもおかしくないな。
でも起業の夢は全然捨てていません。着々と進んでいます。オイラも渡邉会長のようにまでは行かないと思うけどもう少しの辛抱、がんばりますぜ!
若い人にもいいけど、ちょっと心が落ち込んだあなたが44ページを読んだらちょっとした活力剤にはなると思いますよ。
追伸:
渡邉会長へ。ちょっと最近事業展開速すぎませんか?こういうときが一番危険ですよ。大きな落とし穴が待ち受けていますからね。十分にお気をつけくださいい。
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